2005年12月7日(水)18:48

EUは中期予算問題で再度決裂の恐れ

ブリュッセル(AP)

EU首脳会議をおよそ一週間後に控え、EUは中期予算問題で再度の交渉決裂に向かって突き進んでいる。水曜日ブリュッセルで開かれた臨時EU外相会議では、加盟国の圧倒的多数が議長国イギリスの予算提案をきっぱりと拒絶したことが明らかになった。「合意の可能性は限られている」とイギリスのジャック・ストロー外相は語った。

イギリスは来週始め、2007年から2013年までのEU中期予算計画に関する新たな提案を発表する意向である。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相は、批判は予想以上に「厳しく、尾を引くもの」であったと述べた。「私たちは尖った部分や角ばった部分を削る必要がある」。ドイツ政府は「いくつかの観点」については受け容れられるが、他のいくつかについては交渉が必要だと考える。しかし私は新たな予算提案に基づいて合意が得られるものと楽観視している。「多くの出席者が建設的態度を取ることを約束した」、とシュタインマイヤー外相は語った。

イギリスの提案は、2007年から2013年のEU予算を総額で8468億ユーロとするもので、これは当初の予定よりおよそ250億ユーロ縮小されている。新規加盟国に対する構造改革補助金は約10パーセント削減され、1500億ユーロとなっている。議論のあるイギリスの拠出金割引については割引額が引き下げられたものの、制度は基本的に維持される。

フランスのフィリップ・ドストブラジ外相は、「イギリスは孤立している。彼らは新しい提案を行う必要がある」。フランスにとってこの案は受け容れがたい。イギリス政府は「連帯や公平の原則を尊重」しなければならない。イギリスは異論のある拠出金割引でさらなる削減を受け容れる必要がある、と語った。ルクセンブルクのジャン・アッセルボルン外相は「私たちはイギリスにこれではだめだと教えた」と語った。

オーストリアのウルズラ・プラスニク外相は会合前の時点で、「私たちはもっと良い答えを望む」。「これを呑むか、決裂するか」というような進め方は認められない、と釘を刺した。スペインのアルベルト・ナヴァロ政務次官はイギリスの提案を、「貧者からお金を取って富者に回す」案であるため、「まったく受け容れられない」と評した。

デンマークのペーア・スティー・ムラー外相は、イギリスは新規加盟国に対する連帯の姿勢を示していないと批判し、「家に帰ってもう一度考え直す必要がある」と述べた。ポーランドのステファン・メレル外相とスロヴァキアのエドアルト・クカン外相もこの予算案を「受け容れられない」と評した。欧州委員会のダリア・グリバウスカイテ予算担当委員は、誠実な仲介者ではないとしてイギリス政府を非難した。

今年6月に当時の議長国ルクセンブルクが作成した予算案は総額を8710億ユーロとしている。この時はイギリス、スウェーデン、オランダ、スペイン、フィンランドが反対したため、首脳会議は決裂した。スウェーデンとオランダは一層の歳出節減を主張していた。

しかしスペインは他のEU構造改革補助金受給国と同様、歳出の増額を要求している。同国は現在年間およそ170億ユーロのEU補助金を支給されている。ドイツは6月のルクセンブルク提案について、ドイツ政府の当初の予定以上に歳出が膨らんだものの、最終的には了承している。今回のイギリスの提案は歳出額に関してはドイツの当初の要求にずっと歩み寄ったものになっている。

原題:EU steuert auf neues Scheitern im Finanzstreit zu




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